フランスは世界一、観光客が押し寄せる国で、国土は日本の約1.5倍の広さです。日本と同様に四季がありますが、秋は雨が多く、気温は年間を通じて東京より低い。ただし、国土が広いので地方によって気候は微妙に異なり、パリなどの北部は冬はかなり寒い。
パリより一足早く春が訪れるプロヴァンスやニースなどの南仏は、晴天の日が多く湿度が低い地中海性気候で、1年を通じて暖かいのです。暖かな陽光が降り注ぐプロヴァンス地方は南部のモナコ・ニース・マルセイユなどの大都市の田園地帯といったところでしょうか。
エクス・アン・プロヴァンスは17~18世紀の頃、プロヴァンス王国の首都として栄えた町でその面影も感じ取れます。
印象派のセザンヌの故郷としても有名です。生涯のテーマとして描いたサント・ビクトール山を望むこともでき、田舎といっても観光客が押し寄せる景勝地になっています。
ところで、フランスの住宅といっても、地方によって多少異なり、フランス北西部のロワール、ノルマンディ、ブルターニュー地方などになると、おとなしいシックな色合いの家が多いのですが、南仏に建つ家々は明るく華やかな色合いが一般的です。
昔は木造や石造りの家が多くありましたが、地震もないこの国では、先祖代々受け継いだ家に何世代も改装を繰り返しながら住んできました。
古いものを大切に使い続けることは我々も見習わないといけませんが、大昔の日本人の住まい方に似ているようにも思いました。
しかし、今では石が少なく建物を新築する時には、外壁はブロックを使っているようです。
地震がないからこのような施工方法でいいのかもしれませんが…。
屋根は木造に素焼き瓦やセメント瓦、スレート石が主流です。
注目すべきところは、古い家でも玄関ドアや雨戸などを塗り替えると、ずっと昔から建っていて、煤けてみえる家でも、おしゃれな雰囲気に変わります。
内装で、アパルトマンの色使いにしても素晴らしく絵になります。
フランス人はそう言う意味では思い切った色を躊躇せず使います。
コーディネート力にたけているのでしょう。
しかし、私の知っているフランス人は、恥ずかしがり屋で、慎ましく、性格的に地味な人が多いように感じます。
この住宅は田舎の手づくり感が漂う住宅といっていいでしょう。日本の普通の住宅に比べて、違うところは、家の完成は、「経年美」という風合をつくるためのスタート地点にほかならないように思います。
永く住んで、古くなったことに喜びを感じ、古いものを活かしつつ、少しずつ自分達のこの味に染め上げる。そして、このことが住宅への愛着へつながっていくように思います。先祖の時代から使っている調度品や生活用品などが普通に今も使われています。機能性重視の日本人には、敬遠されるかもしれませんが、新しいものの中にアンティークがあると、何となく落ち着きますね~。
エクス・アン・プロヴァンスの街並みでは、いつも露店でアンティーク用品の販売に人だかりができるほどの人気です。新築したばかりの住宅に一つのアンティークがあっても、その相乗効果には計り知れないものがあります。
自分の想いを上手く伝えるために
あなたが、どのようなお住いにしたいのかを私たちに教えて頂くときに、お話をお伺いするだけでは不十分です。 そのようなときに弊社では「理想のくらしのスケッチノート」をお渡ししておりますので、あなたのイメージを書いたり、雑誌の切り抜きを貼ったり、自由に描いて頂き伝えてください。 そのノートをもとに打ち合わせをすると、あなたの理想をより良く形にできます。
感性がある会社を選ぶ
家づくりはお施主様と施工会社の信頼関係が何よりも大切です。特にこのようなオリジナル住宅になると手間がかかり、企画専門の会社では、「出来ますけど、高くなりますよ!」という返事が返ってくるか、「出来ますけど、このような住宅が良いのでは?」と会社都合で誘導するに違いありません。その方が簡単だからです。
しかし、私が思うに、どこの会社でもこのような家はつくれますが、そのデザイン性や感性は誰でも持ち合わせているものではありません。それほど手間と感性を必要とする住宅です。ですから、請負う側の施工体制と、知っていないと造れない微妙な感覚が必要になります。
会社選びのポイントに、社員で女性の担当者やコーデイネーターがいるかも大切な要素になります。細やかさという点では男性に勝りますが、意外とそのことに気付いている会社がまだ少ないようです。
外観
家に帰る時、その家が見えると、あぁ帰ってきたんだ、とほっと安心する。「見てほしくてたまらない家」に住む幸せを感じる―。
家の外観は住む人にとっても周囲の住人にとっても重要なポイントです。ホームランドの家は時間がたつほどに味わい深い家を想定して、素焼きの瓦や色数豊富なフランスの漆喰など体に外がない自然素材を使用しています。
外壁
塗壁が基本ですが、塗りパターンは、骨材を入れてウエーブを付けるか、凹凸を付けたほうがいいです。多少の汚れを拾うことで経年美を強調できます。しかし、凹凸が付きすぎると凸の部分に汚れが付きすぎるので不自然になり避けたほうが良いように思います。
塗壁材料はヨーロッパで使われているものが一番ですが、国内のものでも、施工方法次第で問題ありません。色をどのような色合いにするかは重要です。朝、昼、夕で色は異なりますので注意は必要です。
破風や軒裏
外壁の明るさに比べて、軒裏は1ランク暗く感じます。そのため、破風や軒裏は同系色のわずかに明るめのものを使うのがベストです。
雨戸
南仏では、いくつもの風の名前があるほど風が強いので頑丈なアイアン飾りの雨戸が普通ですが、日本ではペアサッシが主流のため、雨戸の必要性がなく、飾り雨戸が主流です。しかしウレタン製のものが多く、風合いに欠けますので、飾り雨戸はやはり木製が一番です。
ここに使う材木は耐久性があるものを使いますが、5年ほど経ったらまたイメージを変えて塗り直すのも楽しみの一つです。すこし落ち着いた外壁にビビットな塗り直した雨戸がおしゃれです。
玄関ドア
家の顔になる玄関ドアは、輸入の無垢製ドアか、オリジナルのアイアン飾りの玄関ドアが似合います。塗装は外部用の塗料を塗りますが、数年経って剥げかけたドアとアイアン飾りの相性もいいです。機能性重視か、デザイン性重視かで別れます。
外付けのアイアンランプ
外壁にアイアンのオリジナルフックにランプを吊るします。ランプはやはりアイアン性のもので透明のガラスを使った防水型が良いのでは。暗くなってランプをつけると透明ガラスの場合は光の線ができ美しい光を放ちます。
日本でも和風の外部に面した広縁に、吊り燈篭の照明がありますが、そのように照らすイメージです。
タイル
ポーチのタイルはテラコッタもいいのですが、本物のテラコッタタイルは水を吸うため、専用の塗料を塗らないといけません。そういう点では、テラコッタ風タイルが手間いらずでお薦めです。
屋根のアイアンオブジェ
素焼き瓦の棟につけたアイアン飾りはフランス田舎でときどき目にします。魔除けの意味合いもあるのでしょうか。鳩を追う猫のアイアン飾りなど、遠くから見ればついつい本物と間違ってしまうほどです。可愛らしさと遊び心で人気のアイテムです。この家では鳩を追う猫です。
間取り
トイレ、浴室、洗面所を除いては、極力、間仕切り壁を少なくすることがポイントです。
たとえば、玄関を入って、玄関土間を上がったらリビングと言うふうに。キッチンもリビング空間と同じに考え、魅せる空間に。 長く住む家は将来的な可変性も考慮します。
天井
梁を見せたいときは、在来工法の場合は梁現しにすれば一石二鳥です。2×4工法の場合に梁を見せたいときは、付け梁か、飾り梁になります。古ぼけた雰囲気を出すために5種類ほどの塗装材料を使います。
壁
塗壁が一般的ですが、クロスに比べて4~5倍ほどしますので、ご予算に合わせて考えるようにしてください。予算が不足する場合はクロス貼りにするか、来客が多いリビング、玄関まわりのみ塗壁にするようにしてください。
フランス人の感覚は日本人ほど神経ではありません。塗壁に将来的に塗装を施すことも一般なことです。趣味趣向は時間と共に変わるという柔軟性が必要です。
床材
床の材料は無垢材に限りますが、明るめの塗装にしたいのであれば、パインやメープルのような床材が適しますが、杉のように赤味、白味が強いものは適しません。床の塗装については、新築当初に塗った色を押し通す必要はありません。
茶色の床材の上に先々、白い塗装を塗れば、使い込んでいくうちに、下地の茶色が薄く浮かび上がり、使い込まれたアンテイ―クの雰囲気が出てきます。
キッチン
使い勝手に合わせて造作します。このような空間に既成のキッチンではイメージが壊れがち。でも既製品より高くなってはつくれませんので、キッチン枠は大工造作、面材は建具職人の無垢建具など、こだわりの天板、シンク、輸入水洗など、けして手を抜いてはいけません。
洗面化粧台
我社ではオリジナルが主流です。天板はモザイクタイルが多かったのですが、最近では、少し大きめのタイルが人気になってきました。ボールは日本製の良いものもありますが、水洗金具はイメージを醸し出すためには輸入品がいいようです。
鏡は通常のものより、アンテイーク商品がいいようです。そんなに高いものではありません。
バスルーム
浴室をヨーロッパにあるようなオシャレな空間にしたいようであれば、在来で造るに限ります。タイルは白系のシンプルなものが主流です。アクセントに旅行先で手に入れたアンティークのタイルを数枚パターン貼りするとおしゃれな空間になります。
猫足の浴槽もお似合いです。一般的には高額ですが、それほど高くなく手に入れることもできます。浴室のドアほど味気がないものもありません。固定観念を取り外し、どのようなドアにしたいのかを考えると、思いもかけず、このような素晴らしい空間が出来上がります。
家を飾るアイアン
アイアンは一般的に同じものはつくりません。外部のテラスのフェンス、バルコニーの手すり、玄関灯の受け金具、窓飾りの金具、屋根や塀の飾り、内部では、棚受け、カーテンポール、ドアノブ、建具ノブ、タオルホルダーなどご予算に応じて制作いたします。
理想の家つくり方
一人ひとり、個性が違うように、
家もそれぞれに違いがあってこそ、心地よい暮らしがあると考えます。
理想の家の答えは“型”などはなく、全て違ってあたりまえ。
その答え探しこそが、ホームランドの考える“家づくり”そのものなのです。
一からつくる、「自分らしい家」
ホームランドでは“シリーズ”を持ちません。
全てお客様1棟1棟を一から造り上げているからです。
一つひとつ、ご相談を受けてつくりあげていく。実は、効率よくありませんが、お客様と一緒に考えることで、本当のオリジナルな家づくりができるようになっています。
スケッチノートから始まる家づくり
ホームランドの家づくりは“スケッチノート”から始まります。まず、お客様自身で様々な雑誌を見て「これ気になる」「雰囲気が好き」という写真をどんどん切り抜いてスクラップ。それをもとにホームランドのコーディネーターととことん話し合います。スケッチノートがくたくたになるまで使い込まれる頃には、お客様の造りたい家がハッキリ描けてくるのです。
あえて、きれいな家、完璧な家にするとさわれなくなってしまうデメリットがあるので、手を加えることを楽しむそうです。 子供さんがいるため、傷も付きやすいが特に気にしないようにして、傷ついた場合でも家に馴染ませるといった心構えが必要です。
住んで古くなるほど気持ちも嬉しくなるし、「気持のよい空間」「家にいても退屈しない空間」をいつも心がけて生活しているそうです。
インテリアは、ヨーロッパ旅行で得た知識はもちろんですが、特に洋書などで勉強。
機能性よりもデザイン性を優先することで、家に馴染み、気持ちも落ち着く。
インテリアの購入はアンティークショップで欲しいものをショップの人に伝え見つけてもらうこともある。 お得意様になるのも安く仕入れる秘訣の一つだとか。
部屋には極力ものを置かないようにするか、本当に必要なずっと使用しているものだけを置くようにする。散らかさないようにすることも大切で、子どものものは子供部屋でだけ広げるようにしているそうです。常に「引き算」の考えを日頃から持っているそうです。
新築してから6年になりますが、いつでも「お気に入りの空間」を維持するために、数年おきに内装や外装に手を加えていくと、そのことにより、また、次々とイメージが湧いてくるそうです。そしてなにより、家自体に趣が出てきて楽しくなるそうです。
お会いするたびに、生き生きと生活なさっている姿を拝見すると、家での生活を楽しんでいらっしゃることが手に取るように伝わってきます。