全館空調とは・選定のポイント

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全館空調とは、家全体の温度や換気を一括管理するシステムです。従来の個別エアコンや
ファンヒーターを使うのではなく、1台のエアコン或いは、少ない台数の機器により家全体
室内環境を設定温度に保ちます。

そのシステムの構成は一般的には、戸外のきれいな空気を室内の温度に近づけて取り入れる
熱交換器、集塵フィルターを通してその空気を一定温度にするエアコン機器、換気扇により
各部屋にダクトで送風循環させます。そして、汚れた空気は、吸い込み口や一部の強制換気
を通じて戸外に排出されます。

このシステムの導入には、外皮性能の高い家、例えば、高断熱高気密の家でないと十分な性能を
発揮しません。一般住宅で言えばUA値0.6以内は最低条件です。しかし、マンションの場合は
既存マンションでも少しの手を加えれば躯体がコンクリートであるので性能を発揮し易いです。


全館空調のメリットとして
1.各部屋の温度差が少なく冬のヒートショックや夏のムラ冷えを防ぐ

2.効率的な運転で電気代を控える設計が可能

3.フィルターを通して花粉やホコリ、PM2.5を除去して室内の空気をきれいに保つ

4.個別エアコンが必要なくなるのでデザイン性の自由度が高くなる

デメリット
1.一般的には初期導入コストが高くなる

2.定期的なフイルターの清掃などのメンテナンスが必要


簡単に全館空調システムの説明とメリット、デメリットについて説明しましたが、
実はこれからお話しすることが一番重要な内容です。

*性能の確認
先ず、いろいろなメーカーからいくつかの全館空調システムが販売されていますが
多くのシステムは小風量大温度差なのです。
私も、何度か大手メーカーのシステムを導入しましたが今でも解消されていません。
と言うことは、寒い室内に高温で小風量の風が吹き出しても室内の空気は攪拌できず
床と天井の温度差を解消することはできないわけです。
一方、小温度差大風量と言うことは、室内の温度と+3℃程度の吹き出し温度で、
しかも、風量が大きいので全館の隅々まで風が行き渡り床と天井の温度差は殆ど
なくなります。
とは言え、大風量であっても空気の流れは人体にほとんど感じません。
以上のことから小温度差大風量のシステムを選ぶことが大切です。

*将来的な全館空調構再導入について
システムを構成している機器は専用機器になると、機器が故障した時に部品交換が
必要になりますが、部品の保存期間は長くはなく将来的に故障した場合の対応が
できなくなってしまいますので、そのシステムの再導入費用に膨大が金額がかかり
多くの場合は再導入を諦める人が多いのが実情で、そのシステムは使えなくなり
普通の壁掛けエアコンでの対応しかできなくなります。
と言うことは、機械室を構成している部材は汎用品での構成であれば、いつの時代
でも再導入が簡単にできますし、再導入に多額の費用がかかると言うことはありません。

*メンテナンスにお金はかかるか?
メンテナンスはお施主様がフィルター清掃など定期的に行う必要がありますが、
メーカーによっては専門職の技術者による定期点検になり、多くのメンテナンス費用が
かかることがありますから確認が必要です。