壇洋一ブログ

2014.9.8

家につて考える

 

ヨーロッパにはバウビオロギーという言葉はあります。

この言葉の意味は、「生きた住宅は人を元気にしてくれる」とか、

「建築が人の健康に負荷を与えるものであってはいけない」

という精神です。

 

日本の建築は高度成長の量産の時代から、質の時代に突入しました。

古の家はバウビオロギーの精神に叶ったものでしたが、近代の住宅資材は

工業製品中心で量産を基本としています。

 

ところで、去年、人工島にスマートハウスを見に行きました。

土地込み価格、六千万台~一億数千万の家です。

特に一億以上の家は湾側に面して立地も大変良かったです。

家の中も素晴らしい設えですが、ソファーに座って雰囲気を感じ取って

みると何となく落ち着かない……嬉しく感じないのは何なのか?

私なりに検証してみました。

①スマートハウスなので高級家電製品のオンパレードで落ち着かない

②殆どの建材は工業製品なので自然の質感を感じない

③時が経っても経年美を感じ取ることができない

 

ヨーロッパを何度となく訪れて感じたことは、家に人が求めていることは

機能性とか、便利さではないように思います。

家が古くなれば、日本では解体して建替えますが、向こうでは家が朽ち果てる

以外は解体することなくリノベーションして住み続けます。

家の歴史は価値観に繋がっているのです。

フランスのパリから、エクスアンプロヴァンスまでは3時間程度の列車の旅ですが、

パリに自宅をかまえて、フランス南部に別荘を買うのがパリジャンに人気のようです。

南部の別荘は、外観は朽ち果てたように見える建物に内装だけパステル調の

内装でおしゃれな空間に仕上げています。

日本人の感覚でみると“酷い建物”と思うかもしれませんが、それがファッションの

最先端をいくパリジャンに人気です。

経年美や歴史の家が醸し出す雰囲気を大切にしています。 

まさに落ち着く、嬉しい、楽しいや、家を引き立たせる為の努力をしたくなる家なのです。

感性はお国柄と場所がかわると違うものですねえ……。

 

ヨーロパの人があまり考えていないことが住宅の機能性です。

なのに、日本では構造や機能性重視で、それと同じように大切な感性価値が

忘れられています。

住宅建材などの新商品がこれでもか!というようにどんどん出てきます。

悪く考えると、建て替えを勧められているような気持ちにさえなっていまします。

 

でも、最近では長期優良住宅に代表されるようにヨーロッパの家のように

なが~く住み続ける家を建てるようになってきました。

日本の建築技術をとってみても、ここ15年で飛躍的に良くなりました。

ですから、これからの家は長く住むことを想定した家づくりをしないといけません。

 

「いつまでも楽しい生活をおくりたいから、健康を維持できる家にしたい!」

とは誰でも願うことです。

 

~これからの家づくりで考えてもらいたいこと~

*自然素材を多く使うことで健康と経年変化を楽しむ

*建物を魔法瓶に例えるなら性能のいいものをつくる

 (魔法瓶は省エネや断熱・遮音に繋がる)

*建物に搭載する住宅家電(スマートハウス什器)は数十年で使えなくなる

 ので大きな予算は控える

*家づくりは数十年後の先を見据えて考える

 

 

 

それでは、また

 

 

 

 

 

 

 

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