戸建てリフォーム
福岡県久留米市(K様邸)古民家リフォーム 戸建てリフォーム
~篤姫時代の家を再生~
高良山の麓の集落には座という古い風習が昔から続いています。今回のリノベーションのきっかけは、今年、座元(本座)の大役が回ってきたためです。もちろんそれ以外にも、建て替えず、再生することになったのは、他界されたご両親のご要望でもあったようにも伺っています。
この家は、江戸文久年間に建築されましたが、もともとは地域の土豪であって庄屋さんの家だったそうです。
家の至る所に当時の栄華を偲ばせるような設えが施されています。
今回、この古民家再生では、昔の面影と風合いを変えず、現代人にも室内環境や機能性・設備などの充実をはかり住まい易い室内環境をつくりました。
玄関ポーチ、玄関ドア、腰壁、漆喰壁、床タイル、ペアサッシも新しくなりましたが、一番技術を要したのは屋根でした。当初は、麦藁屋根の上にトタン葺きでしたが、母屋との緊桔が弱く、長年の雨風にさらされて傾いていました。最初に屋根裏の小屋組みを補強してから屋根工事にはいりました。
今回屋根材に採用した鋼板材は、ニュージーランド製の岩石を砕いて表面加工した材料です。
この材料は、この家の雰囲気に良く合い、半永久的に葺き替える必要もなく、変色しにくいという利点がありました。
今回の再生工事を顧みて……、親からもらった家を大切に使い、また次の子供世代に受け渡すということは、昔はごく普通のことでしたが、現代人においてはそのようなことも少なくなってきました…。
しかし、環境に配慮したストック型社会へ移行している現在、古いものを再生して大切に使う風潮も生まれてきたことは喜ばしきことです。
このような江戸時代という遠い昔に、その当時の人によって建てられた古民家という大切な財産を、今の建築技術で、これから先の将来にそのままの姿で保存することができるならば、建築に携わる者としてこれ以上の幸せはありません。